38.カミングアウト
5月23日
読了時間: 2分
私は20年もの間、
「母は障害者です」と、
誰かに言ったことがありませんでした。
言ってしまったら相手に嫌われるんじゃないかという思いよりも、
私自身が障害を認めるということになるから…
たぶんそんな心理だったと思います。
でも大人になれば現実はわかるもの。
私はその時付き合っていた彼女に、
母が障害者であることを思い切って打ち明けました。
「どう思われるだろう」
「嫌われたらどうしよう」
「受け止めてほしい」
という気持ちが複雑に交錯していたと思います。
それだけ苦しんで伝えた言葉も、
「そうなんだ」と、
彼女の反応は驚いた様子もなく、
実にあっけなく、
逆に私の方が面食らった感じでした。
素直に彼女の反応を受け止められず、
「えっ?それだけ?きっと母に会っていないからだ」
と、疑心暗鬼。
結局彼女とは、
母と会う前に別れてしまったけれど、
その後できた彼女にも母のことは言ったと思うけど、
会うまでには至らず、
それから時間が流れ、
母に初めて会わせたのは私が32歳の時、
結婚を決めた人でした。
20歳の頃ほどではないにせよ、
やっぱり心の中では「彼女にどう思われるだろう…」
と思いながら母を紹介しましたが、
それ以上に、
彼女自身も私の両親に自分がどう思われるか緊張していたようで、
結局私が心配するような反応はありませんでした。
私は「自分なんか受け入れられるわけがない」
という自己否定があったのだと思います。
この時は、
自分の抑圧した感情に気づいていませんでした。
今では誰に対しても母のことを話すことができますが、
これも時間が必要だったんだと思います。
出口のない迷路に見えたものが
そもそも出口を探す必要のない
素晴らしい庭だったと気づいた時
過ごした景色を愛おしく思う
