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35.白杖

5月22日
読了時間: 2分

小さい頃、

母以外の視覚障害者に会ったことがありませんでした。


しかし高校生になって、

実は私の家の隣の方も白杖を持っていることを知りました。


30代くらいの男性だったと思います。


こんな近くに視覚障害者がいたわけですが、

灯台下暗しとはよく言ったもの。


私は、

その方が白杖を持って外へ出かけていたことに驚きました。


今でこそ、

視覚障害にも軽度から重度まであることや、

全盲であっても、

杖や盲導犬を使って出かける人がいるのを知っていますが、

当時の私は、

「白杖を持っている人=母」

であり、

誰しもが母のように介助が必要だと思っていました。


ある日、

その方が家の前の道路で立ち止まっていたので、

私は「一緒に行きましょうか?」と声をかけると、

「一人で行けますから大丈夫です」と、

白杖をコンコンと突いて行ってしまいました。


私は、

「白杖を持っているのに見えているのかな…」と不思議で、

もしかしたら母もそうかもしれないと、

相変わらず期待したことを覚えています。


それくらい障害について無知だったのです。


その方は、

隣の家に住まれていたものの、

我が家との交流はありませんでした。


私は、

母の障害について調べることもなかったので、

障害への理解も持ち合わせていませんでした。


今、改めて思うのは、

病気に対する正しい理解は、

家族の不安を救う一助になるということ。


家族の誰かが、

母の障害をよく理解しているというのは、

母にとっても安心だったはずです。


母一人で背負うには重たいものも、

二人や三人で背負えば、

心も楽になると思います。


もちろん現実生活のサポートを父はできる限りしていたので、

それ以上を求めるのは酷だったかもしれない。


私は時を経て、

母の病気のことを少しずつ勉強したけれど、

やっぱり気持ちが向かなかった。

この根っこに何があるかを知らないままなので、

ずっと目を背けていたとも言えます。



知らないことは

あなたに出されたクイズ

不思議の謎は

解かれるその日を待っている


世界が歪んで見えるなら

本を一冊開くといい

人が醜く見えるなら

皺の美しい年寄りに話を聞くといい


知る方法は

本当はいくらでもどこにでもある

あなたが知りたいと思えばね

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