20.母は遺影を決めていた
5月20日
読了時間: 2分
私が悪夢をよく見ていた頃、
母は自分の体が辛かったからか、
自分が亡くなった時の遺影を決めているという話を
何度か私に聞かせていました。
この話が悪夢を引き起こしていたんじゃないかと私は思っています。
遺影に決めている写真とは、
母の障害者手帳に貼ってある写真で、
目が見えていた20代の写真です。
当時の私は、
その写真や母の過去のアルバムを見ることに気乗りしませんでした。
私の知らない母の姿が、
どうしても今とつながらなかった。
私が知っているのは目が見えなくて、
透析をして辛そうな母です。
子供は親の若い頃を想像できないのは当然のことです。
40歳近くになって、
私が生まれた頃の写真を見ました。
母は若々しく、
気が強そうに見えます。
私自身はどこか寂しげな表情が多く写っていました。
私も母も写真にほとんど笑顔がないのは、
たまたまかもしれないし、
写真が苦手だったのかもしれません。
でも、写真に映るその表情は、
案外真実を物語っているのではないかと思います。
ただ今となっては過ぎた過去のこと。
家族三人一生懸命に生きてきたので、
どの写真も愛すべきものだと思えます。
目が見えなくなっても子育てを立派に果たし、
透析を40年以上も続けてきた母の苦労や辛さは想像できませんが、
困難を乗り越えて来た母にしか作れない穏やかな顔があると思います。
たくましく生き続けた母を誇りに思います。
亡くなった時は若い頃の写真を使いましたが、
晩年の母でもよかったとは思います。
過去でも現在でも未来でも
どこが一番いいかなんて考える必要はない
心臓が今この瞬間まで
休みなく動いていることに感謝していたい
一生懸命生きていることが
命が尽きるまで生き続けることが
素晴らしい
