19.お母さん死なないで
小学3~4年生の頃、
よく同じ夢を見ては泣いていました。
なぜかその夢には、
母がいなくなってしまう恐怖があったんです。
明け方によく見ていたと思います。
夢の中の時間は夜で、
提灯が空に向かってたくさん並び、
灯りが蜃気楼のようにぼんやりと揺れていました。
一見するとお祭りのような場面なのですが、
楽しい雰囲気かというとそうではありません。
音は人の賑わうガヤガヤした感じですが、
人はいなくて音楽もありません。
ふと、赤と緑の鬼のような大きなものが、
左右に1体ずつ現れるのです。
何か言われたり、
脅かされたりすることはなかったのですが、
とても怖い存在でした。
その夢を見て、
しばらくすると急に不安になって、
「お母さん死なないで」と、
何度も心で叫び、
やがて悲しくなって大泣きするのです。
そして目が覚めます。
私は自分の部屋で寝ていたので、
親に涙を見られたことはありません。
布団で涙を拭った後、
隣の部屋で寝ている母を恐る恐る見に行き、
生きていることを確認して安心し、
また眠りにつきました何。
度も同じ夢を見るので、
そのうち夢を見始めた時に、
「あ、またこの夢だ」
と思い、
次の展開も知っているけれど、
やっぱり泣いて目が覚めるのです。
「お母さん死なないで」と、
母の死を口にするのも怖かったので、
両親にも悪夢のことを話したことはありません。
そして同じ頃だったと思いますが、
身体測定で不整脈が見つかりました。
検査をしてもどこも異常がなく、
それは自然と消えていきました。
私の中で、
何か抑えきれなくなった気持ちが、
心理的なストレス反応として悪夢になり、
また、身体的なストレス反応として不整脈になったんだと理解しています。
小学校5年生くらいになると、
悪夢も見なくなったように思います。
もういいよこの夢は
だって怖いんだもん
ほら次はこうなるんでしょ
それで僕は泣くんだ
ああやっぱり
なんでこんな夢を見るのだろう
濡れた枕を押し入れに隠して
何事もなかったかのように学校へ行く
