12.昏い部屋
5月20日
読了時間: 2分
母の視覚障害は1級。
全盲で光さえ感じることができません。
私は5年生になるとサッカー部に入りました。
夕方遅くに帰ってきた時には電気はついていたんですが、
日が陰る頃、
母は横になって寝ている時間でもあったので、
すぐに電気をつけることはしませんでした。
母にとっては電気がついていても消えていても同じこと。
夏はまだいいのですが、
冬は日が落ちるのが早いから夕方には昏くなります。
私は友達が遊びに来たときに気を遣っていました。
日が落ちて来たなという16 時くらいに、
まず自分の部屋の電気をつけます。
次に居間の電気をつけて、
それで母の部屋に行きます。
母に電気のつくカチッという音を気づかれないように、
話しかけながら電気をこそっとつけていました。
そして自分の部屋に戻って、
また友達と何事もなかったかのように遊ぶ。
母がお風呂に入る時もそう。
私の家のお風呂は、
玄関の通路側にあったので、
同じ階に住む人がお風呂のすぐ前を通ります。
昏いお風呂からザバーッという音が聞こえたら訝しまれると思い、
私は母がお風呂に入ると電気をつけて、
出たら切っていました。
もちろん毎日。
人目がとにかく気になる子供だったのです。
明るい部屋がいい
明るい食卓がいい
明るい家族がいい
簡単なことさ
スイッチをパチンとするだけなんだから
